パイプサポートとは|支持荷重や目的の違いによる配管サポートの種類など

ここでは、配管系の荷重を支持するために使用されるパイプサポートとはどんなものかなど、パイプサポート(配管サポート、配管支持金具・装置)に関する説明や、使用目的や支持荷重の種類の違いによるパイプサポートの種類・形状など、パイプサポートに関することを詳しく解説しています。

リジッドサポート・ローラースタンドサポート例


■ パイプサポートとは?

パイプサポートとは、パイプをはじめ継手・バルブ・計器類などの配管部品から構成される配管系の荷重を支持するための金具・金物・装置の総称をいい、配管サポート、或いは配管支持装置などとも呼ばれるものです。

ここで言うパイプサポートとは、以下の図のような土木・建築・仮設工業分野でコンクリート工事の支保工(型枠支保工)に使用されるパイプサポートのことではなく、プラント設備の配管ライン(管路)を支持するために使用する配管サポート(配管支持金具・装置)のことを指します。

土木・建築・仮設工業分野のコンクリート工事の支保工(型枠支保工)用のパイプサポート

パイプサポート(配管サポート、配管支持金具・装置)は、配管系(管路)の途中の必要な場所に設置することによって配管系の荷重を分散し、パイプ及びパイプと接続する機器類を保護することを主な目的としています。
そのため、配管の詳細部分の設計段階においては、パイプサポートの設計は重要です。

一般に、プラント設備などの配管ラインは、空間を通ってそれぞれの装置・機器類と接続され、しかもその距離が長くなる場合が多くなります。

配管系にかかる荷重としては、以下に列記するようなさまざまな種類の荷重があります。

  • パイプ自体の重量(配管の自重や内部流体、配管保温・保冷材などの重量を含む)
  • バルブ、フランジ、制御弁その他の配管部品による集中荷重
  • 降雪地帯における積雪荷重などの静的な重量
  • 熱によるパイプの伸び縮みから発生する熱応力荷重
  • 振動・地震・風などによる動的な荷重

これらの荷重の全てを配管系自身で受け持つと仮定した場合、これらの配管系が接続している機器や装置のノズルに加わる力が過大となって、機器の性能低下やその破損だけでなく、パイプ自身の撓み(たわみ)も大きくなりパイプの破損の可能性も出てきます。

このため、管路の途中の必要な場所にいくつかの支持点、つまりパイプサポートを設けて荷重を分散し、パイプ及び接続する装置・機器類の保護を考慮する必要があります。

パイプサポート(配管サポート)は、このような必要性から使用されるものであり、その荷重支持方法も荷重の種類や配管系の形状などに左右されるので、それぞれの配管系を十分に検討してパイプサポートの計画設計をすることが大切になります。

例えば、配管がまとまって同一高さに配置される場合には、そのパイプサポートは、集合する配管に共通のものを作り、その上に配管を配置します。

配置する配管の高さによって、頭上より高いもの、地上に配置しなければならないものなどがあり、一般には前者はパイプラックを含むパイプサポートで支持し、後者はパイプスリーパーなどで支持するよう計画します。


■ パイプサポート・配管支持金具・装置の種類

パイプサポート(配管支持金具・装置)は、単に配管系(管路)を支持するだけでなく、配管系を完全に固定するもの、方向の移動を制御(ある方向は移動を許し、特定の方向は移動を拘束するなどの制御)するもの、全方向の移動を許しながらその荷重(自重)を支えるもの、振動・衝撃などの動的荷重を制御するものなど、その目的によって多くの種類に分類されます。

パイプサポートは、それぞれの目的・支持荷重の種類によって大別すると、主に以下のように分類することができます。

ハンガー又はサポート
パイプの重量を支えることを目的とするもの。
レストレイント
熱膨張による配管の移動を拘束又は制限することを目的とするもの。
防振器(ダンパー)
機械の振動、配管内部流体の流れによる振動・衝撃などのパイプの自重又は熱膨張以外の原因で、配管が移動或いは振動するのを制御することを目的とするもの。

■ ハンガー又はサポート

一般に、ハンガーは、字の意味のとおり配管荷重を上から吊り下げるもの、サポートは、下から押し上げるものという区別をする場合が多いようです。

また、配管系の拘束方法の種類によってサポート及びハンガーを分類すると、以下のような種類に区分できます。

■上下方向の移動がほとんどない箇所に使用されるサポート・ハンガー

  • パイプシュー
  • リジットサポート
  • リジットハンガー
  • ブラケット
  • ローラーサポート

パイプシュー例

リジッドサポート・ローラースタンドサポート例

リジットハンガー例

■配管の上下方向の変位を許し、しかもその変位する大きさに比例してその支持力に変動を生じるサポート・ハンガー。

  • スプリングハンガー(バリアブルハンガー)
  • スプリングサポート(バリアブルサポート)

バリアブルハンガー・バリアブルサポート例

■配管の上下方向の変位を許しながら、しかもその支持力に変化を生じないハンガー。

  • コンスタントハンガー(カウンターウェイト式、ばね式など)

カウンターウェイト式コンスタントハンガー・バネ式コンスタントハンガー例


■ レストレイント

熱膨張による配管の移動を拘束又は制限することを目的とするレストレイントには、一般に、ガイド、ストッパー(ストップ)、アンカ(アンカー)の3種類があります。

  • ガイド

ガイド

ガイドサポートは、一般には配管系の軸方向に案内を設けることによって、軸と直角方向変位を拘束するように用いられます。
例えば、垂直配管などでは接続する機器ノズル付近など最上部で固定され、ほかは配管と機器あるいは架構との温度差や風荷重などを考慮してガイドを用います。
また、パイプラック上などパイプで熱膨張が考えられるものでは、他の配管への影響を考慮してガイドを設けたり、伸縮継手(エキスパンションジョイント)を設ける場合にはその変位が正確に軸方向に伝達されるように横方向の変位を拘束するためなどにガイドサポートが用いられます。

  • ストッパー(ストップ)

ストッパー(ストップ)

ストッパサポートは、ある特定の方向の配管変位又は回転だけを拘束又は制御するタイプのサポートです。
例えば、熱膨張に対しての機器ノズル保護や伸縮継手を使用時の内圧による軸方向推力受け、安全弁の吹出し推力受けなどにストッパーを用いることによって、配管系内で過度の応力発生を防いだりするのに用いられます。

  • アンカ(アンカー)

アンカ(アンカー)

アンカは、パイプサポート点の移動及び回転の一切を許さず、配管をサポート位置で完全に固定するタイプのサポートです。
ガイドやストッパーとは違い、そのパイプに加わる重量の支持も受け持つため、リジットサポートの一種ともいえます。
アンカは完全固定なので、配管系はアンカー点によって分断され、分断されたそれぞれの配管系の熱膨張や振動などの設計は、独立して行うことになります。
このようなことから、アンカー点には一般に大きな荷重が作用する場合が多いので、この部分のサポートはその荷重に耐え得る十分な強度・剛性をもったサポートにする必要があります。


■ 防振器(ダンパー)

配管系には、熱によるパイプの伸縮などによって発生する力及び変位のほかに、例えば以下のような振動による力も発生します。

  • 回転機器(ポンプやコンプレッサーなど)から伝達される機械振動
  • 圧縮ガスなどによるサージング
  • 急激な弁開閉などによる配管内部流体の水撃作用(ウォーターハンマー現象)
  • 地震その他によって発生する振動

上記のような振動を防止するには、その原因を究明できれば最もよいですが、実際には複数の原因に起因する場合などもあり、非常に難しいので、発生した振動を以下に効率よく抑制するかが大切になります。

配管の振動を抑制する方法としては、理論的には配管経路の変更やレストレイントその他のサポートによる配管系の固有振動数の変更などによって、配管系の固有振動数を振動源の振動と共振しない振動数になるようにすれば良いことになります。

しかし、レストレイントなどのパイプサポートは、振動を抑制すると同時に、熱によるパイプの伸縮も拘束するために、配管系に過大な応力を発生して障害となる場合が多くなります。

このため、熱による配管系の伸縮を検討しつつ拘束方法も考える必要があり、レストレイント以外に配管の振動を抑制する方法として、一般に防振器が用いられています。

防振器には、その構造によって以下のような種類があります。

  • ばね式防振器
  • 油圧式防振器
ばね式防振器
配管の変位に応じて受け持つ荷重も変化する防振器。
防振効果を上げるためにはバネ定数を大きくするが、その分拘束も大きくなり配管系の熱応力に影響するので、一般には温度のあまり高くない配管系に使用される場合が多い。
油圧式防振器
構造上、配管系の変位に対してもほとんど抵抗がなく、防振効果も大きい。

■ 金具・金物の種類

上で説明したような各種パイプサポートをパイプに接続・取付けするためには金具・金物が必要になります。
金具・金物には、大きく分けると、パイプに溶接しない金具と、直接溶接する金具とがあります。

■パイプに直接溶接しない金具・金物

このタイプの金具は一般にパイプが非鉄金属・非金属或いは合金鋼鋼管などで、サポートとパイプの溶接に適さないものによく用いられます。

比較的低温の配管用の金具の材料・材質には炭素鋼の金具、高温の配管用には合金鋼などの金具が用いられます。

これらの金具は、一般にはパイプへの取り付けが簡単で、取付け位置も自由に選定できたり規格化もされているので金具ごとの設計なども不要で便利ですが、あまり大きな荷重支持のサポートには適しません。

これらの金具の一例を以下に示します。

  • Uボルト・ナット
  • パイプクランプ
  • パイプバンド(Uバンド)
  • クレビス
  • スプリング
  • パイプサドル
  • ガイド(シューなどのガイドストップなどにも使用する)

パイプに直接溶接しない金具・金物


■パイプに直接溶接する金具・金物

このタイプの金具は、高温配管や大荷重のパイプサポート金具に適していますが、規格化されているようなものはないのが一般的であり、エンジニアがその都度設計したりエンジニアリングメーカー各社でパターン化した設計を持っている場合が多い金具です。

金具・金物の材料は、パイプに直接溶接するため、一般には取り付けるパイプと同材質のものを用います。

これらの金具の一例を以下に示します。

  • シュー
  • シュー(H形、U形など)
  • ラグ
  • トラニオン(ダミーサポート)
  • スカート
  • パイプ補強パッド
  • パイプブラケット

パイプに直接溶接する金具・金物


■ パイプサポートの選定や作成手順

一般に各配管系の材質やサイズ、配管ルート、使用条件などはそれぞれ異なるため、それぞれに使用すべきパイプサポートも非常に多様化します。

通常は、パイプサポートの位置、支持する荷重の大きさ、サポート方法などは、配管レイアウト時に配管が接続する機器類や架橋類などとの関連を考慮して検討します。

パイプサポートの選定にあたっては、その配管系が固定か、ガイドが必要か、熱伸縮などによる配管の移動があるか、などを十分検討して決定する必要があります。

また、支持する荷重の大きさやサポートの方法などによって多少の差異は生じますが、パイプサポートはできるだけ標準化して使用することもコストや作業面からも重要なことです。

パイプサポートの作成手順の一例を以下に簡単にまとめます。

パイプサポート位置の決定
・水平配管のサポート間隔の決定
・垂直配管のサポート間隔の決定
サポート方法の決定
・固定支持/自由支持
・熱膨張・伸縮による変位を必要とするもの
・防振を要するもの
サポート荷重計算
・パイプ、フランジバルブ、保温・保冷、配管内部流体などによるパイプ自身の重さ
・熱膨張・伸縮による荷重
・水圧試験のための短期荷重
・地震荷重
・積雪荷重(寒冷地などの場合)
・風荷重(特に大口径配管に対して)
パイプサポート図の作図
・標準図の適用
・特殊サポートの作図
配管図面中へのサポートの指示・図示
・配管組立図(平面図)
・配管組立図(立面図)
・アイソメ図(等角図)
材料手配及び製作
・サポート材料の集計・手配
・工場製作
・現場製作
現場取付
・各サポートの支持方法・拘束方向・位置の確認など


関連ページ・参考サイト

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