銅管・銅パイプ|材質・材料によるパイプの分類-銅管の種類・規格

ここでは、銅及び銅合金を詳しく解説するとともに、銅管・銅パイプ(銅合金管・銅配管)の種類にはどんなものがあるかを、以下で解説しています。

配管・パイプの種類のうち、いわゆる”配管・パイプ・チューブ”を、パイプ材質・材料別に分類した場合に、材料・材質が”銅及び銅合金”である配管・パイプをまとめています。

銅管・銅パイプ(銅合金管・銅配管)の種類一覧”に類するもの


■ 銅とは?|銅(Cu)の物性値・性質など

まず、銅とはどんなものでしょうか。

銅とは、英文では『Copper』であり、元素記号を『 Cu 』と表記する原子番号が29の元素です。

銅は、融合性に富んだ金属材料で、亜鉛や錫(すず)、金、銀、ニッケルなどと容易に融合することによって、後述するようないろいろな銅合金が知られています。

銅(Cu)の物理特性・原子特性などの基本データとしては、以下のとおりです。

  • 原子量 : 63.536
  • 原子番号 : 29
  • 結晶構造 : 面心立方
  • 密度 : 8.92g/cm3
  • 融点 : 1357.6K (1084.4℃)
  • 融解熱 : 13.05KJ/mol
  • 沸点 : 2840K (2567℃)
  • 蒸発熱(気化熱) : 300.3KJ/mol
  • 熱伝導率 : 401W/(m・K)
  • 電気伝導率(導電率) : 59.6 106/m Ω
  • モル体積 : 7.11×10-6m3/mol
  • 音の伝わる速さ : 3570m/s (293.15 K)

■ 銅合金とは?|銅合金の特徴・性質、用途など

銅合金とは、英文では『copper alloy』であり、銅(Cu)を主成分とし、亜鉛(Zn)やスズ(Sn)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)などの元素を添加することによってできる合金の総称です。
主な銅及び銅合金には以下のようなものがあります。

  • 黄銅(真鍮、真ちゅう):銅(Cu)と亜鉛(Zn)の銅合金
  • 青銅(ブロンズ、砲金):銅(Cu)とスズ(Sn)の銅合金
  • 白銅(キュプロニッケル):銅(Cu)とニッケル(Ni)の銅合
  • 赤銅(しゃくどう):銅(Cu)と金(Au)の銅合金
  • 洋白(洋銀、ニッケルシルバー、ジャーマンシルバー):銅(Cu)と亜鉛(Zn)とニッケル(Ni)の銅合
  • タフピッチ銅、無酸素銅、りん脱酸銅(リン脱酸銅):純度の高いの銅

上記のような銅及び銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造などの熱間加工或いは冷間の塑性加工によって板、条、管(パイプ、チューブ)、棒、線などの形状に加工した製品を総称して、伸銅品と言います。

銅及び銅合金(伸銅品)が金属材料として優れている点、特徴・性質などを、以下に簡単にまとめます。

電気を良く通す
銅及び銅合金は、常温では金属の中で銀に次いで2番目に電気を良く通す金属です。
銅及び銅合金は、電気伝導率(導電率) が非常に高い(つまり、電気抵抗が小さい)ので、配電盤やその他多くの配線など、電気機器部品として広く利用されています。
熱を良く通す
銅及び銅合金は、熱を良く通す、つまり、熱伝導率が高いので、化学工業用やクーラーの熱交換器、家庭用風呂釜、蒸留釜、調理器具(やかんなど)などに利用されています。
伸延性、圧延性が良い
銅及び銅合金は、圧延、伸線し易いので、線・条・及び板の曲げ加工・絞り加工が容易にできます。
耐食性が良い
銅及び銅合金は、耐食性に優れている金属なので、船舶、発電所、プラント設備の復水器や、屋根、雨樋などの建築材料として広く使われています。
多彩なカラーで美しい
銅及び銅合金は金属の中では数少ない有色金属です。
銅は淡赤桃色、赤みがかった丹銅、ブラスと呼ばれる黄銅、ブロンズと呼ばれる青銅、少しピンクがかった白銅、銀色の洋白など多彩な色沢をもち、古くから建築材料やさまざまな器物などに使われています。
良好なバネ特性をもつ
りん青銅(リン青銅)や洋白、ベリリウム銅などの工業用の銅合金などは、ばね性が良く疲労強度が高い性質があります。
そのため、通信機や電気計器などの部品として広く利用されています。
低温ぜい性がない
銅及び銅合金は、温度の低下するとともに強さが増して、超低温でも低温ぜい性を示さないとう特性をもちます。
非磁性体
銅及び銅合金は、磁性がない合金金属であるため、防爆防止用材料などに利用されます。
めっき性・はんだ付性が良好
銅及び銅合金はニッケル、クロム、金、銀などのメッキののりが良く、さらにバフ研磨などの研磨処理を施すことにより光沢ある仕上げ面が得られます。
切削加工性に優れる
銅及び銅合金は、被削性が良好であり、切削仕上げ面や打ち抜きが美しく加工できます。
熱間鍛造性が良好
銅及び銅合金は、熱間鍛造性が良好なので、複雑な形状のものでも鍛造が可能であり、機械部品などに利用されています。

■ 銅及び銅合金の種類・特徴・用途(JIS規格品)

JIS規格における銅及び銅合金には、以下の合金番号・合金記号で表される、銅及び銅合金の板・条・棒・線及び鋳物の種類があります。

  • 以下、『JIS H 3100 銅及び銅合金の板並びに条』から抜粋。
無酸素銅(合金番号:C1020)
記号:
板:C1020P(普通級)/C1020PS(特殊級)
条:C1020R(普通級)/C1020RS(特殊級)
特性及び用途例:
導電性・熱伝導性・展延性・絞り加工性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性がよい。
還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素ぜい化を起こすおそれがない。
電気用、化学工業用など。
タフピッチ銅(合金番号:C1100)
記号:
板:C1100P(普通級)/C1100PS(特殊級)
条:C1100R(普通級)/C1100RS(特殊級)
印刷用板:C1100PP(普通級)
特性及び用途例:
導電性・熱伝導性に優れ、展延性・絞り加工性・耐食性・耐候性がよい。
電気用、蒸留がま、建築用、化学工業用、ガスケット、器物など。
印刷用銅(C1100PP)は、特に平面が平滑である。グラビア版用。
りん脱酸銅(合金番号:C1201、C1220、C1221)
記号:
板:C1201P(普通級)/C1201PS(特殊級)
条:C1201R(普通級)/C1201RS(特殊級)
板:C1220P(普通級)/C1220PS(特殊級)
条:C1220R(普通級)/C1220RS(特殊級)
板:C1221P(普通級)/C1221PS(特殊級)
条:C1221R(普通級)/C1221RS(特殊級)
特性及び用途例:
展延性・絞り加工性・溶接性・耐食性・耐候性・熱伝導性がよい。
合金番号C1220は、還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素脆化を起こすおそれがない。
合金番号C1201は、C1220及びC1221より導電性がよい。
ふろがま、湯沸器、ガスケット、建築用、化学工業用など。
印刷用銅(合金番号:C1221、C1401)
記号:
印刷用板:C1221PP(普通級)
印刷用板:C1401PP(普通級)
特性及び用途例:
C1221PPは、特に平面が平滑である。グラビア版用。
C1401PPは、特に平面が平滑で耐熱性がある。写真凸版用。
すず入り銅(合金番号:C1441)
記号:
板:C1441PS(特殊級)
条:C1441RS(特殊級)
特性及び用途例:
導電性・熱伝導性・耐熱性・展延性に優れている。
半導体用リードフレーム、配線機器、その他電気電子部品、湯沸器など。
ジルコニウム入り銅(合金番号:C1510)
記号:
板:C1510PS(特殊級)
条:C1510RS(特殊級)
特性及び用途例:
導電性・熱伝導性・耐熱性・展延性に優れている。
半導体用リードフレームなど。
鉄入り銅(合金番号:C1921、C1940)
記号:
板:C1921PS(特殊級)
条:C1921RS(特殊級)
板:C1940PS(特殊級)
条:C1940RS(特殊級)
特性及び用途例:
導電性・熱伝導性・強度・耐熱性に優れ、加工性がよい。
半導体用リードフレーム、端子、コネクタなどの電子部品など。
雷管用銅(合金番号:C2051)
記号:
条:C2051R(普通級)
特性及び用途例:
特に絞り加工性が優れている。雷管用。
丹銅(合金番号:C2100、C2200、C2300、C2400)
記号:
板:C2100P(普通級)
条:C2100R(普通級)/C2100RS(特殊級)
板:C2200P(普通級)
条:C2200R(普通級)/C2200RS(特殊級)
板:C2300P(普通級)
条:C2300R(普通級)/C2300RS(特殊級)
板:C2400P(普通級)
条:C2400R(普通級)/C2400RS(特殊級)
特性及び用途例:
色沢が美しく、展延性・絞り加工性・耐候性がよい。
建築用、装身具、化粧品ケースなど。
黄銅(合金番号:C2600、C2680、C2720、C2801)
記号:
板:C2600P(普通級)
条:C2600R(普通級)/C2600RS(特殊級)
板:C2680P(普通級)
条:C2680R(普通級)/C2680RS(特殊級)
板:C2720P(普通級)
条:C2720R(普通級)/C2720RS(特殊級)
板:C2801P(普通級)
条:C2801R(普通級)/C2801RS(特殊級)
特性及び用途例:
C2600は、展延性・絞り加工性に優れ、めっき性がよい。端子コネクタなど。
C2680は、展延性・絞り加工性・めっき性がよい。スナップボタン、カメラ、まほう瓶などの絞り用、端子コネクタ、配線器具など。
C2720は、展延性・絞り加工性がよい。浅絞り用など。
C2801は、強度が高く、展延性がある。打ち抜いたまま又は折り曲げて使用する配線器具部品、ネームプレート、計器板など。
快削黄銅(合金番号:C3560、C3561、C3710、C3713)
記号:
板:C3560P(普通級)
条:C3560R(普通級)
板:C3561P(普通級)
条:C3561R(普通級)
板:C3710P(普通級)
条:C3710R(普通級)
板:C3713P(普通級)
条:C3713R(普通級)
特性及び用途例:
C3560及びC3561は、特に被削性に優れ、打抜き性もよい。時計部品、歯車など。
C3710及びC3713は、特に打抜き性に優れ、被削性もよい。時計部品、歯車など。
すず入り黄銅(合金番号:C4250)
記号:
板:C4250P(普通級)
条:C4250R(普通級)/C4250RS(特殊級)
特性及び用途例:
耐応力・腐食割れ性・耐摩耗性・ばね性がよい。
スイッチ、リレー、コネクタ、各種ばね部品など。
アドミラルティ黄銅(合金番号:C4430)
記号:
板:C4430P(普通級)
条:C4430R(普通級)
特性及び用途例:
耐食性、特に耐海水性がよい。
厚物は熱交換器用管板、薄物は熱交換器、ガス配管用溶接管など。
りん入りアドミラルティ黄銅(合金番号:C4450)
記号:
条:C4450R(普通級)
特性及び用途例:
耐食性がよい。ガス配管用溶接管など。
ネーバル黄銅(合金番号:C4621、C4640)
記号:
板:C4621P(普通級)
板:C4640P(普通級)
特性及び用途例:
耐食性、特に耐海水性がよい。
厚物は熱交換器用管板、薄物は船舶海水取入口用など(合金番号C4621はロイド船級用、NK船級用、合金番号C4640はAB船級用)。
アルミニウム青銅(合金番号:C6140、C6161、C6280、C6301)
記号:
板:C6140P(普通級)
板:C6161P(普通級)
板:C6280P(普通級)
板:C6301P(普通級)
特性及び用途例:
強度が高く、耐食性、特に耐海水性・耐摩耗性がよい。
機械部品、化学工業用、船舶用など。
楽器弁用黄銅(合金番号:C6711、C6712)
記号:
板:C6711P(普通級)
板:C6712P(普通級)
特性及び用途例:
打ち抜き加工性・耐疲労性がよい。
ハーモニカ、オルガン、アコーディオンの弁など。
白銅(合金番号:C7060、C7150)
記号:
板:C7060P(普通級)
板:C7150P(普通級)
特性及び用途例:
耐食性、特に耐海水性がよく、比較的高温の使用に適する。
熱交換器用管板、溶接管など。
ニッケル-すず銅(合金番号:C7250)
記号:
板:C7250PS(特殊級)
条:C7250RS(特殊級)
特性及び用途例:
展延性・成形加工性・疲労特性・耐熱性・耐食性がよい。
電子・電気機器用ばね、スイッチ・リレー、リードフレーム、コネクタなど。
備考:
導電用のものは、上記の記号の後に”C”を付ける。
  • 以下、『JIS H 3110 りん青銅及び洋白の板並びに条』から抜粋
りん青銅(合金番号:C5050、C5071、C5111、C5102、C5191、C5212)
記号:
板:C5050P / 条:C5050R
板:C5071P / 条:C5071R
板:C5111P / 条:C5111R
板:C5102P / 条:C5102R
板:C5191P / 条:C5191R
板:C5212P / 条:C5212R
特性及び用途例:
展延性・耐疲労性・耐食性がよい。
合金番号C5050及びC5071は、導電性・熱伝導性に優れる。
合金番号C5191及びC5212は、ばね材に適する。ただし、特に高性能のバネ性を要求するものは、ばね用リン青銅を用いるのがよい。
電子、電気機器用ばね、スイッチ、リードフレーム、コネクター、ダイヤフラム、ベロー、ヒューズグリップ、しゅう動片軸受、ブッシュ、打楽器など。
洋白(合金番号:C7351、C7451、C7521、C7541)
記号:
板:C7351P / 条:C7351R
板:C7451P / 条:C7451R
板:C7521P / 条:C7521R
板:C7541P / 条:C7541R
特性及び用途例:
光沢が美しく、展延性・耐疲労性・耐食性がよい。
合金番号C7351及びC7521は、絞り性に富む。
水晶発振子ケース、トランジスタキャップ、ボリウム用しゅう動片、時計文字板・がわ、装飾品、洋食器、医療機器、建築用、管楽器など。
  • 以下、『JIS H 3130 ばね用ベリリウム銅,チタン銅,りん青銅,ニッケル−すず銅及び洋白の板並びに条』から抜粋
ばね用ベリリウム銅(合金番号:C1700、C1720)
記号:
板:C1700P / 条:C1700R
板:C1720P / 条:C1720R
特性及び用途例:
耐食性がよく、時効硬化処理前には展延性に富み、時効硬化処理後は、耐疲労性・導電性が増加する。
ミルハードン材を除き、時効硬化処理は成形加工後に行う。
高性能ばね、継電器用ばね、電器機器用ばね、マイクロスイッチ、ダイヤフラム、ベロー、ヒューズクリップ、コネクタ、ソケットなど。
ばね用低ベリリウム銅(合金番号:C1751)
記号:
板:C1751P / 条:C1751R
特性及び用途例:
耐食性がよく、時効硬化処理後は、耐疲労性・導電性が増加する。
特に導電性については、純銅の半分以上の導電率をもつ。
スイッチ、リレー、電極など。
ばね用チタン銅(合金番号:C1990)
記号:
板:C1990P / 条:C1990R
特性及び用途例:
時効硬化性銅合金のミルハードン材で、展延性・耐食性・耐摩耗性・耐疲労性がよく、特に応力緩和性・耐熱性に優れた高性能ばね材である。
電子・通信・情報・電機・計測器などのスイッチ、コネクタ、ジャック、リレーなど。
ばね用りん青銅(合金番号:C5210)
記号:
板:C5210P / 条:C5210R
特性及び用途例:
展延性・耐疲労性・耐食性がよい。
特に低温焼なましを施してあるので、高性能ばね材に適する。
質別SHは、ほとんど曲げ加工を施さない板バネに用いる。
電子・通信・情報・電気・計測機器用のスイッチ、コネクタ、リレーなど。
ばね用ニッケル-すず銅(合金番号:C7270)
記号:
板:C7270P / 条:C7270R
特性及び用途例:
耐熱性・耐食性がよく、時効硬化処理前には展延性に富み、時効硬化処理後は応力緩和特性・耐疲労性・導電性が向上し、高性能ばね材に適する。
ミルハードン材を除き、時効硬化処理は成形加工後に行う。
電子・通信・情報・電気・計測機器用の端子、コネクタ、ソケット、スイッチ、リレー、ブラシなど。
ばね用洋白(合金番号:C7701)
記号:
板:C7701P / 条:C7701R
特性及び用途例:
光沢が美しく、展延性・耐疲労性・耐食性がよい。
特に低温焼なましを施してあるので、高性能ばね材に適する。
質別SHは、ほとんど曲げ加工を施さない板バネに用いる。
電子・通信・情報・電気・計測機器用のスイッチ、コネクタ、リレーなど。
備考:
ミルハードン材とは、製造業者側で適切な冷間加工及び時効硬化処理を施し、規定された機械的性質を付与したものをいう。
  • 以下、『JIS H 3140 銅ブスバー』から抜粋
銅ブスバー(合金番号:C1020、C1100)
記号:
C1020BB / C1100BB
特性及び用途例:
電気の伝導性が優れている。各種導体、スイッチバーなど。
  • 以下、『JIS H 3250 銅及び銅合金の棒』から抜粋
無酸素銅棒(合金番号:C1020)
記号:
押出:C1020BE / 引抜:C1020BD / 鍛造:C1020BF
特性及び用途例:
電気・熱の導電性・展延性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性がよい。
還元性の雰囲気中で高温で加熱しても水素ぜい化を起こすおそれがない。
電気部品、化学工業用など。
タフピッチ銅棒(合金番号:C1100)
記号:
押出:C1100BE / 引抜:C1100BD / 鍛造:C1100BF
特性及び用途例:
電気・熱の導電性に優れ、展延性・耐食性・耐候性がよい。
電気部品、化学工業用など。
りん脱酸銅棒(合金番号:C1201、C1220)
記号:
押出:C1201BE / 引抜:C1201BD
押出:C1220BE / 引抜:C1220BD
特性及び用途例:
展延性・溶接性・耐食性・耐候性・熱の伝導性がよい。
合金番号C1220は、還元性雰囲気中で高温に加熱しても、水素ぜい化を起こすおそれがない。
合金番号C1201は、C1220より電気の伝導性がよい。
電気部品、化学工業用など。
黄銅棒(合金番号:C2600、C2700、C2800)
記号:
押出:C2600BE / 引抜:C2600BD
押出:C2700BE / 引抜:C2700BD
押出:C2800BE / 引抜:C2800BD
特性及び用途例:
C2600及びC2700は、冷間鍛造性・転造性がよい。機械部品、電気部品など。
C2800は、熱間加工性がよい。機械部品、電気部品など。
快削黄銅棒(合金番号:C3601、C3602、C3603、C3604、C3605)
記号:
引抜:C3601BD
押出:C3602BE / 引抜:C3602BD / 鍛造:C3602BF
引抜:C3603BD
押出:C3604BE / 引抜:C3604BD / 鍛造:C3604BF
押出:C3605BE / 引抜:C3605BD
特性及び用途例:
被削性に優れる。合金番号C3601及びC3602は、展延性もよい。
ボルト、ナット、小ねじ、スピンドル、歯車、バルブ、ライター・時計・カメラ部品など。
鍛造用黄銅棒(合金番号:C3712、C3771)
記号:
押出:C3712BE / 引抜:C3712BD / 鍛造:C3712BF
押出:C3771BE / 引抜:C3771BD / 鍛造:C3771BF
特性及び用途例:
C3712は、熱間鍛造性がよく、精密鍛造に適する。機械部品など。
C3771は、熱間鍛造性と被削性がよい。バルブ、機械部品など。
ネーバル黄銅棒(合金番号:C4622、C4641)
記号:
押出:C4622BE / 引抜:C4622BD / 鍛造:C4622BF
押出:C4641BE / 引抜:C4641BD / 鍛造:C4641BF
特性及び用途例:
耐食性、特に耐海水性がよい。船舶用部品、シャフトなど。
アルミニウム青銅棒(合金番号:C6161、C6191、C6241)
記号:
押出:C6161BE / 引抜:C6161BD / 鍛造:C6161BF
押出:C6191BE / 引抜:C6191BD / 鍛造:C6191BF
押出:C6241BE / 引抜:C6241BD / 鍛造:C6241BF
特性及び用途例:
強度が高く、耐摩耗性・耐食性がよい。
車両用、機械用、化学工業用、船舶用などのギヤーピニオン・シャフト・ブッシュなど。
高力黄銅棒(合金番号:C6782、C6783)
記号:
押出:C6782BE / 引抜:C6782BD / 鍛造:C6782BF
押出:C6783BE / 引抜:C6783BD
特性及び用途例:
強度が高く、熱間鍛造性・耐食性がよい。
船舶用プロペラ軸、ポンプ軸など。
備考:
1.導電用のものは、上記の記号の後に”C”を付ける。
2.自動機用のものは、引抜棒のDの記号の後に”S”を付ける。
3.フレアナット用のものは、引抜棒のDの記号の後に”N”を付ける。
フレアナット用は、JIS B 8607(冷媒用フレア及びろう付け管継手)に規定する第1種及び第2種のフレアナットに適用する正六角形のC3604BD及びC3771BDで、引抜き後SR処理(ひずみ取りのための熱処理で Stress Release の略)を行ったものをいう。
  • 以下、『JIS H 3260 銅及び銅合金の線』から抜粋
無酸素銅線(合金番号:C1020)
記号:C1020W
特性及び用途例:
電気・熱伝導性・展延性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性がよい。
還元性の雰囲気中で高温で加熱しても水素ぜい化を起こすおそれがない。
電気製品、化学工業用など。
タフピッチ銅線(合金番号:C1100)
記号:C1100W
特性及び用途例:
電気・熱伝導性に優れ、展延性・耐食性・耐候性がよい。
電気用、化学工業用、小ねじ、くぎ、金網など。
りん脱酸銅線(合金番号:C1201、C1220)
記号:C1201W / C1220W
特性及び用途例:
展延性・溶接性・耐食性・耐候性がよい。
合金番号C1220は、還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素ぜい化を起こすおそれがない。
合金番号C1201は、C1220より電気の伝導性がよい。小ねじ、くぎ、金網など。
丹銅線(合金番号:C2100、C2200、C2300、C2400)
記号:C2100W / C2200W / C2300W / C2400W
特性及び用途例:
色沢が美しく、展延性・耐食性がよい。
装飾品、装身具、ファスナ、金網など。
黄銅線(合金番号:C2600、C2700、C2720、C2800)
記号:C2600W / C2700W / C2720W / C2800W
特性及び用途例:
C2600W、C2700W及びC2720Wは、展延性・冷間鍛造性・転造性がよい。
びょう、小ねじ、ピン、かぎ針、ばね、金網など。
C2800Wは、合金番号C2600W、C2700W及びC2720Wに比べて強度が高く、展延性もある。
溶接棒、びょうなど。
ニップル用黄銅線(合金番号:C3501)
記号:C3501W
特性及び用途例:
被削性・冷間鍛造性がよい。自転車のニップルなど。
快削黄銅線(合金番号:C3601、C3602、C3603、C3604)
記号:C3601W / C3602W / C3603W / C3604W
特性及び用途例:
被削性に優れる。合金番号C3601・C3602は展伸性もある。
ボルト、ナット、小ねじ、電子部品、カメラ部品など。
  • 以下、『JIS H 3270 ベリリウム銅,りん青銅及び洋白の棒並びに線』から抜粋
ベリリウム銅(合金番号:C1720)
記号:
棒:C1720B / 線:C1720W
特性及び用途例:
耐食性がよく、時効硬化処理前は展伸性に富み、時効硬化処理後は耐疲労性・導電性が増加する。
時効硬化処理は、成形加工後に行う
棒は、航空機エンジン部品、プロペラ、ボルト、カム、歯車、軸受、スポット溶接用電極など。
線は、コイルばね、渦巻ばね、ブラシなど。
りん青銅(合金番号:C5071、C5111、C5102、C5191、C5212)
記号:
棒:C5071B / 線:C5071W
棒:C5111B / 線:C5111W
棒:C5102B / 線:C5102W
棒:C5191B / 線:C5191W
棒:C5212B / 線:C5212W
特性及び用途例:
耐疲労性・耐食性・耐摩耗性がよい。
棒は、歯車、カム、継手、軸、軸受、小ねじ、ボルト、ナット、しゅう動部品、コネクタ、トロリ線用ハンガなど。
線は、コイルばね、渦巻ばね、スナップボタン、電機バインド用線、金網、ヘッダー材、ワッシャなど。
快削りん青銅(合金番号:C5341、C5441)
記号:
棒:C5341B
棒:C5441B
特性及び用途例:
被削性がよい。
小ねじ、軸受、ブシュ、ボルト、ナット、ボールペン部品など。
洋白(合金番号:C7451、C7521、C7541、C7701)
記号:
線:C7451W
棒:C7521B / 線:C7521W
棒:C7541B / 線:C7541W
棒:C7701B / 線:C7701W
特性及び用途例:
光沢が美しく、耐疲労性・耐食性がよい。
棒は、小ねじ、ボルト、ナット、電気機器部品、楽器、医療機器、時計部品など。
線は、特殊ばね材料に適する。
直線ばね・コイルばねとして断電器、計測器、医療機器、装飾品、眼鏡部品など。
軟質材は、ヘッダー材など。
快削洋白(合金番号:C7941)
記号:
棒:C7941B
特性及び用途例:
被削性がよい。
小ねじ、軸受け、ボールペン部品、眼鏡部品など。

以下、『JIS H 5120 銅及び銅合金鋳物』から抜粋

  • 銅鋳物1種(CAC101) : Cu合金系
  • 銅鋳物2種(CAC102) : Cu合金系
  • 銅鋳物3種(CAC103) : Cu合金系
  • 黄銅鋳物1種(CAC201) : Cu-Zn合金系
  • 黄銅鋳物2種(CAC202) : Cu-Zn合金系
  • 黄銅鋳物3種(CAC203) : Cu-Zn合金系
  • 高力黄銅鋳物1種(CAC301) : Cu-Zn-Mn-Fe-Al合金系
  • 高力黄銅鋳物2種(CAC302) : Cu-Zn-Mn-Fe-Al合金系
  • 高力黄銅鋳物3種(CAC303) : Cu-Zn-Al-Mn-Fe合金系
  • 高力黄銅鋳物4種(CAC304) : Cu-Zn-Al-Mn-Fe合金系
  • 青銅鋳物1種(CAC401) : Cu-Zn-Pb-Sn合金系
  • 青銅鋳物2種(CAC402) : Cu-Sn-Zn合金系
  • 青銅鋳物3種(CAC403) : Cu-Sn-Zn合金系
  • 青銅鋳物6種(CAC406) : Cu-Sn-Zn-Pb合金系
  • 青銅鋳物7種(CAC407) : Cu-Sn-Zn-Pb合金系
  • りん青銅鋳物2種A(CAC502A) : Cu-Sn-P合金系
  • りん青銅鋳物2種B(CAC502B) : Cu-Sn-P合金系
  • りん青銅鋳物3種A(CAC503A) : Cu-Sn-P合金系
  • りん青銅鋳物3種B(CAC503B) : Cu-Sn-P合金系
  • 鉛青銅鋳物2種(CAC602) : Cu-Sn-Pb合金系
  • 鉛青銅鋳物3種(CAC603) : Cu-Sn-Pb合金系
  • 鉛青銅鋳物4種(CAC604) : Cu-Sn-Pb合金系
  • 鉛青銅鋳物5種(CAC605) : Cu-Sn-Pb合金系
  • アルミニウム青銅鋳物1種(CAC701) : Cu-Al-Fe-Ni-Mn合金系
  • アルミニウム青銅鋳物2種(CAC702) : Cu-Al-Fe-Ni-Mn合金系
  • アルミニウム青銅鋳物3種(CAC703) : Cu-Al-Fe-Ni-Mn合金系
  • アルミニウム青銅鋳物4種(CAC704) : Cu-Al-Fe-Ni-Mn合金系
  • シルジン青銅鋳物1種(CAC801) : Cu-Si-Zn合金系
  • シルジン青銅鋳物2種(CAC802) : Cu-Si-Zn合金系
  • シルジン青銅鋳物3種(CAC803) : Cu-Si-Zn合金系
  • シルジン青銅鋳物4種(CAC804) : Cu-Si-Zn合金系
  • ビスマス青銅鋳物1種(CAC901) : Cu-Sn-Zn-Bi合金系
  • ビスマス青銅鋳物2種(CAC902) : Cu-Sn-Zn-Bi合金系
  • ビスマス青銅鋳物3種B(CAC903B) : Cu-Sn-Zn-Bi合金系
  • ビスマスセレン青銅鋳物1種(CAC911) : Cu-Sn-Zn-Bi-Se合金系

以下、『JIS H 5121 銅合金連続鋳造鋳物』から抜粋

  • 高力黄銅連続鋳物1種(CAC301C) : Cu-Zn-Mn-Fe-Al合金系
  • 高力黄銅連続鋳物2種(CAC302C) : Cu-Zn-Mn-Fe-Al合金系
  • 高力黄銅連続鋳物3種(CAC303C) : Cu-Zn-Al-Mn-Fe合金系
  • 高力黄銅連続鋳物4種(CAC304C) : Cu-Zn-Al-Mn-Fe合金系
  • 青銅連続鋳物1種(CAC401C) : Cu-Zn-Pb-Sn合金系
  • 青銅連続鋳物2種(CAC402C) : Cu-Sn-Zn合金系
  • 青銅連続鋳物3種(CAC403C) : Cu-Sn-Zn合金系
  • 青銅連続鋳物6種(CAC406C) : Cu-Sn-Zn-Pb合金系
  • 青銅連続鋳物7種(CAC407C) : Cu-Sn-Zn-Pb合金系
  • りん青銅連続鋳物2種(CAC502C) : Cu-Sn-P合金系
  • りん青銅連続鋳物3種(CAC503C) : Cu-Sn-P合金系
  • 鉛青銅連続鋳物3種(CAC603C) : Cu-Sn-Pb合金系
  • 鉛青銅連続鋳物4種(CAC604C) : Cu-Sn-Pb合金系
  • 鉛青銅連続鋳物5種(CAC605C) : Cu-Sn-Pb合金系
  • アルミニウム青銅連続鋳物1種(CAC701C) : Cu-Al-Fe-Ni-Mn合金系
  • アルミニウム青銅連続鋳物2種(CAC702C) : Cu-Al-Fe-Ni-Mn合金系
  • アルミニウム青銅連続鋳物3種(CAC703C) : Cu-Al-Fe-Ni-Mn合金系
  • シルジン青銅連続鋳物4種(CAC804C) : Cu-Si-Zn合金系
  • ビスマス青銅連続鋳物1種(CAC901C) : Cu-Sn-Zn-Bi合金系
  • ビスマス青銅連続鋳物2種(CAC902C) : Cu-Sn-Zn-Bi合金系
  • ビスマス青銅連続鋳物3種(CAC903C) : Cu-Sn-Zn-Bi合金系
  • ビスマスセレン青銅連続鋳物1種(CAC911C) : Cu-Sn-Zn-Bi-Se合金系

■ 銅管・銅パイプの種類一覧及び規格の概要

配管・パイプの種類うち、配管の材料・材質が銅管・銅パイプ(銅合金管)で製造される配管・パイプのJIS規格を、英文(英語名)のタイトルとその規格の概要とともに以下にリストアップします。

JIS H 3300 銅及び銅合金の継目無管
Copper and copper alloy seamless pipes and tubes

展伸加工した断面が丸形の銅及び銅合金継目無管について。

適用範囲、引用規格、種類、等級及びその記号、品質(外観、化学成分、機械的性質及び物理的性質の試験項目、機械的性質、結晶粒度、押広げ性、へん平性、非破壊検査特性、導電率、水素脆性、時期割れ性、浸出性能)、寸法及びその許容差、試験、検査、表示など。

銅及び銅合金の継目無管には、以下の種類があり、その記号の種類や等級、特性及び用途例は以下の通り。

無酸素銅継目無管(合金番号:C1020)
記号:C1020T(普通級)/C1020TS(特殊級)
特性及び用途例:
電気・熱の伝導性、展延性・絞り加工性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性がよい。
還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素ぜい化を起こさない。
熱交換器用、電気用、化学工業用など。
タフピッチ銅継目無管(合金番号:C1100)
記号::C1100T(普通級)/C1100TS(特殊級)
特性及び用途例:
電気・熱の伝導性に優れ、絞り性・耐食性・耐候性がよい。電気部品用など。
りん脱酸銅継目無管(合金番号:C1201、C1220)
記号:
C1201T(普通級)/C1201TS(特殊級)
C1220T(普通級)/C1220TS(特殊級)
特性及び用途例:
押広げ性・曲げ性・絞り加工性・溶接性・耐食性・耐候性・熱伝導性がよい。
C1220は、還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素脆化を起こすおそれがない。
C1201は、C1220より電気の導電性はよい。熱交換器用、化学工業用、ガス用など。
ただし、C1220については、水道用及び給湯用にも使用可能。
丹銅継目無管(合金番号:C2200、C2300)
記号:
C2200T(普通級)/C2200TS(特殊級)
C2300T(普通級)/C2300TS(特殊級)
特性及び用途例:
色沢が美しく、押広げ性・曲げ性・絞り性・耐候性がよい。
化粧品ケース用、給排水管用、継手など。
黄銅継目無管(合金番号:C2600、C2700、C2800)
記号:
C2600T(普通級)/C2600TS(特殊級)
C2700T(普通級)/C2700TS(特殊級)
C2800T(普通級)/C2800TS(特殊級)
特性及び用途例:
押広げ性・曲げ性・絞り性・めっき性がよい。
熱交換器、カーテンレール、衛生管、諸機器部品、アンテナなど。
C2800は、強度が高い。精糖用、船舶用、諸機器部品用など。
復水器用黄銅継目無管(合金番号:C4430、C6870、C6871、C6872)
記号:
C4430T(普通級)/C4430TS(特殊級)
C6870T(普通級)/C6870TS(特殊級)
C6871T(普通級)/C6871TS(特殊級)
C6872T(普通級)/C6872TS(特殊級)
特性及び用途例:
耐食性がよく、特にC6870・C6871及びC6872は、耐海水性がよい。
火力・原子力発電用復水器用、船舶用復水器用、給水加熱器用、蒸留器用、油冷却器用、造水装置などの熱交換器用など。
復水器用白銅継目無管(合金番号:C7060、C7100、C7150、C7164)
記号:
C7060T(普通級)/C7060TS(特殊級)
C7100T(普通級)/C7100TS(特殊級)
C7150T(普通級)/C7150TS(特殊級)
C7164T(普通級)/C7164TS(特殊級)
特性及び用途例:
耐食性がよく、特に耐海水性がよく、比較的高温の使用に適する。
船舶用復水器用、給水加熱器用、化学工業用、造水装置用など。
備考:
導電用のものは、上記の記号の後に”C”を付ける。

圧力容器用銅合金管には、以下の合金番号の銅合金が用いられる。

  • C2800(質別:O) 記号:C2800T-O、C2800TS-O
  • C4430(質別:O) 記号:C4430T-O、C4430TS-O
  • C7060(質別:O) 記号:C7060T-O、C7060TS-O
  • C7150(質別:O) 記号:C7150T-O、C7150TS-O

合金番号C1220(りん脱酸銅継目無管)の管を水道用配管に用いる場合の浸出性能は以下とする。
・濁度:2度以下
・色度:5度以下
・臭気:異常が無いこと
・味:異常がないこと
銅の溶出量:1.0mg/L 以下
※上記はいずれも常温での試験値。

熱交換器用銅合金管には、以下の合金番号の銅合金が用いられる。

  • C4430・C6870・C6871・C6872・C7060・C7100・C7150・C7164

JIS H 3320 銅及び銅合金の溶接管
Copper and copper alloy welded pipes and tubes

JIS H 3100(銅及び銅合金の板並びに条)に規定する合金番号C1220・C2600・CC2680・C4430・C4450・C7060・C7150の条を、高周波誘導加熱溶接した銅及び銅合金の溶接管について。

適用範囲、引用規格、種類、等級及びその記号、品質(外観、化学成分、機械的性質及び物理的性質の試験項目、機械的性質、結晶粒度、押広げ性、へん平性、非破壊検査特性、時期割れ性)、寸法及びその許容差、試験、検査、表示など。

銅及び銅合金の溶接管には、以下の種類があり、その記号の種類や等級、特性及び用途例は以下の通り。

りん脱酸銅溶接管(合金番号:C1220)
記号:C1220TW(普通級)/C1220TWS(特殊級)
特性及び用途例:
押広げ性・曲げ性・絞り性・溶接性・耐食性・熱伝導性がよい。
還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素脆化を起こすおそれがない。
熱交換器用、化学工業用、給水・給湯用、ガス管用など。
ただし、C1220については、水道用及び給湯用にも使用可能。
黄銅溶接管(合金番号:C2600、C2680)
記号:
C2600TW(普通級)/C2600TWS(特殊級)
C2680TW(普通級)/C2680TWS(特殊級)
特性及び用途例:
押広げ性・曲げ性・絞り性・めっき性がよい。
熱交換器用、カーテンレール用、衛生管用、諸機器部品用、アンテナ用など。
りん入りアドミラルティ黄銅溶接管(合金番号:C4450)
記号:C4450TW(普通級)/C4450TWS(特殊級)
特性及び用途例:
耐食性がよい。ガス管用など。
白銅溶接管(合金番号:C7060、C7150)
記号:
C7060TW(普通級)/C7060TWS(特殊級)
C7150TW(普通級)/C7150TWS(特殊級)
特性及び用途例:
耐食性、特に耐海水性がよく、比較的高温の使用に適する。
楽器用、建築用、装飾用、熱交換器用など。
備考:
導電用のものは、上記の記号の後に”C”を付ける。

JIS H 3330 外面被覆銅管
Plastic covered copper tubes

使用圧力1.0MPa以下の給水、給湯、排水、空調用冷温水の配管及びその他の配管に用いる外面に合成樹脂を被覆した継目無銅管について。

適用範囲、引用規格、定義、種類及びその記号、性能(化学成分、引張強さ、押広げ性、耐圧性能、浸出性能、曲げ性)、外観及び形状、寸法及びその許容差、材料、製造方法、試験、検査、表示など。

定義:
この規格で用いる主な用語の定義は、次による。

使用圧力
通常の使用状態における水圧力であって、”最高使用圧力(静水圧)”。
原管
外面に被覆する以前の銅管。
被覆銅管
(1)被覆材料種類:P
原管外面に低発泡ポリエチレン及びポリエチレンを押出成形によって被覆した銅管。
(2)被覆材料種類:V
原管外面に塩化ビニルコンパウンドを押出成形によって被覆した銅管。

外面被覆銅管には、以下の種類があり、その記号と種類は以下の通り。

  • P : 軟質(O)(記号:P-O-M)
  • P : 硬質(H)(記号:P-H-M)
  • V : 軟質(O)(記号:V-O-M)
  • V : 硬質(H)(記号:V-H-M)

外面被覆銅管の原管及び被覆銅管の材料:
原管は、JIS H 3300(銅及び銅合金の継目無管)のC1220(リン脱酸銅)に規定するものとする。
被覆銅管の外面被覆用樹脂は、吸水性がほとんどなく、土壌腐食に耐える低発泡ポリエチレン(発泡倍率約2倍)及びポリエチレン又は塩化ビニルコンパウンドを使用する。

外面被覆銅管の製造方法:
原管は、JIS H 3300(銅及び銅合金の継目無管)のC1220(リン脱酸銅)の鋳塊を用いて継目無く製造する。
被覆銅管の外面被覆用樹脂は、原管の外面に押出成形機によって溶融混練した樹脂を継目無く被覆する。
Pは、低発泡ポリエチレンとポリエチレンを押出成形によって被覆する。
Vは、原管外面と接する部分が凹凸のある形状で、塩化ビニルコンパウンドを押出成形によって被覆する。


JIS H 3510 電子管用無酸素銅の板,条,継目無管,棒及び線
Oxygen free copper sheets, plates, strips, seamless pipes and tubes, rods, bars and wires for electron devices

展伸加工した電子管用無酸素銅の板、条、継目無銅管、棒及び線について。

適用範囲、引用規格、種類及び記号、品質(外観、化学成分、機械的性質及びその他の特性の試験項目、板及び条の機械的性質、結晶粒度及び導電率、管の機械的性質及び導電率、棒の機械的性質及び導電率、線の機械的性質及び導電率、水素ぜい性、酸化膜のはく離性)、寸法の許容差、試験、検査、表示など。

電子管用無酸素銅の板,条,継目無管,棒及び線には、以下の種類があり、その記号と種類は以下の通り。

  • C1011P : 板
  • C1011R : 条
  • C1011T : 管(普通級)
  • C1011TS : 管(特殊級)
  • C1011BE : 棒(押出)
  • C1011BD : 棒(引抜)
  • C1011W : 線

JIS S 3028 石油燃焼機器用銅製送油管
Oil discharge copper pipe for oil burning appliances

灯油、軽油又は重油を燃料とする石油燃焼機器と JIS S 3020(石油燃焼機器用油タンク)、JIS S 3026(石油燃焼機器用灯油供給器)などとを接続し、燃料供給に用いる銅製送油管について。

適用範囲、引用規格、種類、品質性能、構造、形状・寸法、材料、外観、試験方法、検査、表示など。

石油燃焼機器用銅製送油管の種類は、銅パイプと管継手の結合方式によって分け、以下の通りとする。

フレア式
管の端部を円すい状に広げて接続する結合方式。
くい込み式
金属又は耐油性のあるゴム若しくはプラスチック製のスリーブ又はOリングを管の端部にくい込ませて接続する結合方式。

銅パイプ及び管継手の材料は、次の規定を満足しなければならない。
(1)銅パイプの材料は、JIS H 3300(銅及び銅合金の継目無管)に適合したものでなければならない。
(2)管継手の材料は、JIS H 3250(銅及び銅合金の棒)又はこれらと同等以上の機械的性質のある金属製でなければならない
(3)スリーブの材料は、JIS H 3250(銅及び銅合金の棒)又はこれらと同等以上の機械的性質のあるもの、若しくは耐油性のあるゴム又はプラスチックを使用しなければならない。
(4)Oリングの材料は、JIS B 2401(Oリング)又はこれらと同等以上の機械的性質のあるもので、耐油性のあるゴム等を使用しなければならない。


【参考】 日本伸銅協会技術標準(JBMA 又は JCBA)一覧

日本伸銅協会(JCBA:Japan Copper and Brass Association)からは、銅及び銅合金(伸銅品)に関して、以下の技術標準が発行されています。

【日本伸銅協会技術標準の記号番号と名称】

  • JBMA T 001 「日本伸銅協会技術標準」標準化の一般規定
  • JBMA T 203 水道用ミリサイズ銅管
  • JCBA T 204 鉛レス快削黄銅棒
  • JBMA T 301 銅合金展伸材のアンモニア試験方法
  • JBMA T 302 共同購入ビッカ−ス硬さ基準片
  • JBMA T 303 黄銅材の脱亜鉛腐食試験方法
  • JBMA T 304 銅及び銅合金条のスリット歪み測定方法
  • JBMA T 305 銅合金丸棒の残留応力測定方法
  • JCBA T 306 銅及び銅合金管の残留応力測定方法
  • JCBA T 307 銅及び銅合金薄板条の曲げ加工性評価
  • JCBA T 308 銅及び銅合金薄板条の疲労特性試験方法
  • JCBA T 309 銅及び銅合金薄板条の曲げによる応力緩和試験方法
  • JCBA T 310 銅及び銅合金薄板条のせん断試験方法
  • JCBA T 311 銅及び銅合金板の動摩擦係数測定方法
  • JCBA T 312 銅及び銅合金板条の片持ち梁による曲げたわみ係数測定方法
  • JCBA T 313 銅及び銅合金板条の低温/高温引張特性試験方法
  • JCBA T 314 銅及び銅合金板条の加工硬化特性試験
  • JCBA T 315 銅及び銅合金板条の軟化特性試験
  • JCBA T 316 銅及び銅合金の端伸び歪み試験方法
  • JCBA T 317 すずめっき付き銅及び銅合金条のめっきの耐熱剥離性試験方法
  • JCBA T 318 銅及び銅合金条の曲がり測定方法
  • JCBA T 319 エリクセン試験A方法
  • JCBA T 320 銅及び銅合金の条のクロスボウ測定方法
  • JCBA T 321 リフロ-すずめっき付き銅及び銅合金板条のめっき厚さ試験方法
  • JBMA T 407 銀入銅中の銀定量方法
  • JBMA T 408 銅合金中のマグネシウム定量方法
  • JBMA T 409 銅合金中のテルル定量方法
  • JBMA T 602 分析用標準試料調製手順
  • JBMA T 901 銅及び銅合金展伸材の平均的密度表
  • JCBA T 902 伸銅品用語
備考:
2001年4月付けで、日本伸銅協会と全国伸銅工業組合が統合され、新生 日本伸銅協会(英文名:Japan Copper and Brass Association)となったときに略号としてJCBAを採用が採用されています。
従来のJBMAは一般的に広まった規格記号と認識されているので変更されていません。
新たに制定するものからJCBAが使用されることとなっています。

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