配管図面におけるストレーナー等各種配管部品の記号例・製図方法
ここでは配管系を構成するエルボ・レデューサなどの管継手(フィッティング)やフランジ、バルブなど以外で配管に使用される各種配管部品を、配管図面に製図する場合のそれらの図記号例、図面の描き方・製図方法について例を挙げてまとめています。
ストレーナ(Y形、T形、バケット形、コーン形等)、スチームトラップ、フレキシブルホース(フレキシブルチューブ)、エキスパンションジョイント、サイトグラス、リストリクションオリフィス(制限オリフィス)、リングスペーサ、スペクタルブラインド、ホースコネクションなどの配管部品があります。
配管の状態を正投影法により二次元的に表現する組立図や平面配管図・立面配管図に図示する場合のストレーナの記号や、等角図(アイソメ図)に図示する場合のストレーナーの記号、配管との接続方法の違いによる各種配管部品の図記号など、それぞれの場合の製図方法を例を挙げて説明します。
■ ストレーナとは
ストレーナとは、英語では”Strainer”と書き、”ストレーナー”とも呼ばれ、配管内部を流れる流体に含まれる異物やゴミを分離、ろ過、排除するためのスクリーンと呼ばれるメッシュ状の網状のものを内蔵した配管部品のことです。
水や油、ガス、空気、蒸気など各種流体を通す配管内部には、それら流体中の異物や配管内の腐食物、ガスケットなどのはく離によるごみなどの異物混入するため、それらをそのまま放置すると、配管系に設置される各種機器やバルブ類の損傷や寿命の低下、各種機器が正常な性能発揮に悪影響を及ぼすなどのトラブルが発生する恐れがあります。
これらのトラブルを未然に防ぐことを目的とし、配管ライン中にストレーナを設置することによって、配管内部流体に含まれる異物やゴミの分離・排除を行います。
ストレーナは、配管ライン中の重要なバルブの保護を目的として、配管内部流体の流れのバルブ上流側に設置したり、ポンプの保護を目的として、ポンプサクション側(ポンプ吸込み側)に設置したりして使用されます。
ストレーナの内部に内蔵されるメッシュ状のスクリーンには、上図のように、ステンレス鋼板に多数の穴を開けたパンチングメタルを使用したものや、ステンレス線を編みこんだステンレス線平織のスクリーンなどがあります。
配管内部流体から排除する異物の大きさや、流体の種類・所定の圧力・流速などを考慮し、スクリーンのメッシュを選定する必要があります。
■ スチームトラップとは(蒸気トラップとは)
スチームトラップとは、英語では”automatic steam trap”と書き、”蒸気トラップ”とも呼ばれ、蒸気機器や蒸気輸送配管で発生するドレン(凝縮水又は復水)を自動的に排出し、原則として閉弁の間は生蒸気を漏らさない弁装置を内蔵する自動弁のことです。
配管においては蒸気配管などで一般に使われる配管部品の一つです。
スチームトラップには、その作動方式の違いにより、一般に以下のような蒸気トラップがあります。
- メカニカルスチームトラップ
- ドレンの水位によって作動する蒸気トラップ。
(作動原理に浮力を利用するトラップ。)
■密閉フロート式
■開放フロート式(上向きバケット)
■開放フロート式(下向きバケット)
主に以下の作動方式のなどがある。 - サーモスタティックスチームトラップ
- ドレンの温度によって作動する蒸気トラップ。
(作動原理に蒸気とドレンの温度差を利用するトラップ。)
■蒸気圧式
■バイメタル式
■液体又は固体膨張式
主に以下の作動方式のなどがある。 - サーモダイナミックスチームトラップ
- ドレンの動力学によって作動する蒸気トラップ。
(作動原理に蒸気とドレンの熱力学的特性差を利用するトラップ。)
■ディスク式
■インパルス式
■ラビリンス又はオリフィス式
主に以下の作動方式のなどがある。
スチームトラップは、JISにおいては、JIS B 8401(蒸気トラップ)に規定があります。
■ エキスパンションジョイントとは
エキスパンションジョイントとは、英語では”expansion joint”と書き、”伸縮継手”或いは”伸縮管継手”とも呼ばれ、配管継手の一種として、パイプの軸方向、軸直角方向、曲がりなどの変位を、ベローズの伸縮・屈曲によって吸収する目的で配管の接続に使用される配管部品です。
ベローズ形エキスパンションジョイントは、配管内圧力による静的推力や熱伸縮、地震変位・荷重などを配管系において吸収するために、配管アンカー点(固定点)の間に設置したり、機器ノズルに設置することにより配管変位を吸収し、機器ノズルに発生する応力を低減するなどの用途に利用されます。
エキスパンションジョイントには、使用目的・用途に応じ、以下のようなさまざまな種類があります。
- ベローズ形エキスパンションジョイント
- 補強リングなしベローズ形エキスパンションジョイント
- 補強リング付き(以下、”ベローズ形エキスパンションジョイント”は省略)
- ロッド付き
- 外筒付き
- 圧力バランス式
- ジンバル式
- ヒンジ式
- ユニバーサル式
- スイング式
- パンタグラフ付き
- リンク付き
- 外圧式
■ フレキシブルメタルホースとは(フレキシブルメタルチューブとは)
フレキシブルメタルホースとは、英語では”corrugated flexible metal hose”と書き、配管継手の一種として、屈曲運動、振動などを吸収するため、波形に加工した管と固定式管継手とが一組になっている配管継手のことで、フレキシブルメタルチューブとも呼ばれたり、慣用的に、”フレキ”と呼ばれる場合もあります。
■ ストレーナ記号の書き方・製図方法例
ストレーナ(ストレーナー)を、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【フランジ形 Y形ストレーナ記号例】(1形)
- 【フランジ形 Y形ストレーナ記号例】(2形)
- 【突合せ溶接形 Y形ストレーナ記号例】(1形)
- 【突合せ溶接形 Y形ストレーナ記号例】(2形)
- 【差込み溶接形及びねじ込み形 Y形ストレーナ記号例】(1形)
- 【突合せ溶接形 T形ストレーナ記号例】(1形)
- 【突合せ溶接形 T形ストレーナ記号例】(2形)
- 【突合せ溶接形 T形ストレーナ(バスタブ形)記号例】(1形)
- 【突合せ溶接形 T形ストレーナ(バスタブ形)記号例】(2形)
- 【フランジ形 バケット形ストレーナ記号例】
- 【フランジ形 コーン形ストレーナ(テンポラリーストレーナ)記号例】
■ スチームトラップ記号(蒸気トラップ記号)の書き方・製図方法例
スチームトラップ(蒸気トラップ)を、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【フランジ形 スチームトラップ(蒸気トラップ)記号例】
- 【差込み溶接形及びねじ込み形 スチームトラップ(蒸気トラップ)記号例】
■ ベローズ形エキスパンションジョイント記号の書き方・製図方法例
ベローズ形エキスパンションジョイント(ベローズ形伸縮継手)を、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【フランジ形 ベローズ形エキスパンションジョイント(ベローズ形伸縮継手)記号例】
- 【突合せ溶接形 ベローズ形エキスパンションジョイント(ベローズ形伸縮継手)記号例】
■ フレキシブルホース・チューブ記号の書き方・製図方法例
フレキシブルホース(フレキシブルチューブ)を、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【フランジ形 フレキシブルホース(フレキシブルチューブ)記号例】(1形)
- 【フランジ形 フレキシブルホース(フレキシブルチューブ)記号例】(2形)
- 【差込み溶接形及びねじ込み形 フレキシブルホース(フレキシブルチューブ)記号例】(1形)
■ サイトグラスの書き方・製図方法例
サイトグラスを、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【フランジ形 サイトグラス記号例】
- 【差込み溶接形及びねじ込み形 サイトグラス記号例】
■ ホースコネクション記号の書き方・製図方法例
ホースコネクションを、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【差込み溶接形及びねじ込み形 ホースコネクション記号例】
■ スペクタクルブラインド記号の書き方・製図方法例
スペクタクルブラインドを、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【フランジ形 スペクタクルブラインド記号例】
■ パドルブラインド記号の書き方・製図方法例
パドルブラインドを、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【フランジ形 パドルブラインド記号例】
■ リングスペーサー記号の書き方・製図方法例
リングスペーサーを、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【フランジ形 リングスペーサー記号例】
■ リストリクションオリフィス記号の書き方・製図方法例
リストリクションオリフィス(制限オリフィス)を、正投影法により平面図及び立面図の配管図面や、等角投影によりアイソメ図(等角図)に製図する場合の図記号例を以下に示します。
- 【フランジ形 リストリクションオリフィス(制限オリフィス)記号例】
- 備考1.
- 1形と2形の上記各種配管部品の図記号は、配管径と図面との尺度を勘案して使い分けます。
ただし、同一配管系では、1形・2形の図記号を混用してはいけません。
なお、図面との縮尺にもよりますが、2形の図示記号は、一般的には呼び径14B(350A)くらいを境にしてそれより大きな配管径の場合に用いられます。
また、通常は差込溶接式及びねじ込み式は、大径配管には使われないので、2形で差込溶接式及びねじ込み式の配管部品を図示することは一般にはありません。